第59章 約束
夜。
自主練を終えて部屋に戻る途中。
「波瑠」
なぜか体育館裏で蛍と2人きりになっていた。
「僕と2人なのは、嫌?」
腕を引かれ、抱きしめられる。
「嫌じゃないよ」
「じゃあ……赤葦さんと2人なのは嫌?」
「京治くん?
別に嫌じゃないけど」
「そう」
ぎゅう、と抱きしめられている腕に力が入る。
「どうしたの?」
目の前に居る蛍にいつもの余裕はない。
「蛍…?」
「波瑠…僕のこと好き?
こんなこと聞くのウザったい女みたいで嫌なんだけど…」
絞り出すようなか細い声。
「……蛍、こっち向いて?」
俯いている蛍の顔を無理矢理上げさせる。