第54章 スペシャリスト
「波瑠、大丈夫そうか?」
「はい、この程度ならマッサージを施せば何も問題はありません。
ただ少し痛いですけど」
「え…」
「おー、なら良かったわ。
良かったな?夜久」
「お、おぉ」
「俺ら片づけとくから、夜久は彼女ちゃんにマッサージやって貰えよ」
「え?いや、俺も片づけ…」
「いーから、波瑠、頼むな」
「あ、はい。
では夜久さん、良いですか?」
「あ、あぁ、頼む」
体育館の端に避け、椅子に座らせる。
スッ、と夜久さんの手を私の肩に置く。
「え?」
「痛かったら思いっきり掴んで大丈夫ですから」
「いや、それは流石に…」
「じゃあ始めます」
「いッッ……!?」
予想以上の痛みに身体が跳ね上がる。
「どしたー?やっくん」
「な、んでもねー」
「そ?なら良いけどよ」
少し黒い顔をしている黒尾さんはさておき、手を休めることなく動かす。