第52章 勝負とプールと企み
「隣良い?」
「良いよ。
一応は水着に着替えたんだね」
「着替えただけ、だけどね」
「蛍は泳がないの?」
「こんな人が密集してるところで泳げる訳ないでしょ。
それに眼鏡ないと見えないから」
「まぁ、この人数だからね」
スポーツやる人で眼鏡かけてるのは珍しいからな。
「波瑠こそ泳がないの?
他のマネージャーさんはプール満喫してるけど」
「私は見てるだけで良い。
正直なところ、泳ぐことに興味はない」
「泳げないんじゃなくて?」
「さぁ。
泳ごうと思えば泳げるけど泳ぐ気にはならない」
無駄に疲れるだけだし。
「へいへいへーい。
ツッキー泳がねーのか?
楽しいのに勿体ないぞー!」
「僕は大丈夫です」
「あれれ、ツッキーもしかしてカナヅチ?」
ぷっ、と小馬鹿にしたように言う黒尾さん。
「はぁ?
そんな訳ないじゃないですか。
泳げますよ、人並みには」