第51章 アップルパイ
この前、インターハイ予選のDVDを見た。
あの場面は誰だって緊張するし、記憶にも残るだろう。
でも、メンタル強くなきゃピンサーなんてやってられないよ。
サーブはバレーで唯一の個人技なんだし、その上チームの空気を左右する。
失敗すればチームの士気を下げることになるのだ。
プレッシャーは相当。
でも…だからなんだ。
「試合、出たかったんじゃないの?」
実力が足りないって分かってたとしても、やっぱり出たい気持ちはあるだろう。
「そうだけど…」
「やっとコートに立てるのに、実力発揮出来ないまま下がりたい?
もし今日攻めたサーブをせず、逃げたサーブをするようなら山口くんを試合に出す必要はないの。
そんなんじゃいつまで経ってもジャンフロを試合で使いこなせない。
逃げてちゃ何も始まらないよ。
緊張するのは分かる、悪いことじゃない。
誰だって試合前は高揚なり緊張なりで普通じゃない。
試合で活躍出来るのは、それらに流されず自分のプレーが出来た選手」