第45章 好み
「また研磨くんが体調でも崩したんですか?」
「いや、今回は研磨じゃねぇ。
リエーフだ。
あいつがやっちまった」
「どんな症状です?」
「多分捻挫だ、軽度だとは思うが」
「分かりました、そっち行きます」
例え軽度でも捻挫を甘く見てはいけない。
「え?
でも波瑠ちゃん、今からお風呂じゃ…」
仁花が心配そうに声をかける。
「あ、そうなのか。
なら先行って来て良いぞ」
「大丈夫です。
処置終わってすぐ入るんで私に構わず先行っててください」
お風呂は別にあとからでも遅くはない。
前を歩く黒尾さんに小走りで着いて行く。
「おいリエーフ!
動き回ってんじゃねー、悪化するぞ!」
ドアに手をかけた瞬間、夜久さんの声が聞こえた。
「おーい。
うるせ、騒ぐな」
「あー、すまん」
「リエーフ、お前はとりあえずそこへ座れ」
「俺なら大丈夫っすよ!」
「良いから座れ」
「…うぃっす」