第44章 夜道
「俺目当てなんて、そんな人居ませんから」
会話している京治くんの邪魔をしないよう、マッサージを施していく。
「 “ 指はセッターの命です ” って言って、木兎にすら触らせなかったのに〜」
え、そうだったんだ。
こんな無遠慮に触っちゃって大丈夫だったかな。
でも京治くんは嫌なことは嫌だってちゃんと言うよね。
「それとこれは別ですよ」
「痛くないですか?」
「あぁ、大丈夫。
もう大分痛みもないし、感覚も戻って来たよ」
「良かったです。
でも念の為もう少し解しておきますね」
「ありがとう。
やり方聞いても良いかな?
気持ちが良いし、指の疲れも取れるしで。
俺1人でも出来るようになりたいんだけど」
「やり方っていう程のものじゃないですよ。
ただ掌全体で指1本1本を包み込んで、温め解す。
それだけです」
「それだけで良いの?」
「はい。
要は温めながら解すことが大事なんです。
私が勝手にやってるだけですけどね」
「なるほどね」
「はい、一応これで終了です。
明日に支障は残らないと思いますけど、何かあったら言ってください。
些細なことでも良いですから」
「分かった。
ありがとう、助かったよ」
「いえ」