第44章 夜道
コンコン。
控えめなノックが響いた。
「どうぞー」
「あ、どうも」
「あれ、赤葦じゃん。
どうしたの〜?」
チラリとこちらを見る。
「冷やす必要もないのでどこでやっても良いんですけど…」
やっぱりここじゃ気まずいよね。
「じゃあお邪魔しても良いですか?
多分部屋は騒がしくて迷惑かけると思うので」
「良いよ〜」
「お邪魔します」
と、部屋の隅に腰を下ろした。
「とりあえずは力だけ抜いてくださいね。
あとは何してても構いませんから」
「そういう訳にはいかないよ」
「京治くんらしいですね」
「あの赤葦が女の子と普通に話してる。
珍しい…」
「あのってなんですか」
「だっていつも素っ気ないじゃん。
赤葦目当てで入部してくれてる子も居るのに」
「い、いえ…わたしは、その…」
顔を赤らめる新顔の女の子。
梟谷の新しいマネージャーかな。
前回の時には居なかったけど。