第44章 夜道
「そろそろ指の感覚戻って来ました?」
「そうだね、最初に比べたら大分」
「じゃあ一旦ここで終わりにして、戻りましょう。
あとはお風呂上がりにもう1度マッサージさせてください。
そうすれば明日の練習には支障ありませんから」
「分かった。
じゃあ上がったら部屋に行くよ。
他のマネージャーと同じ部屋で良いんだよね?」
「はい、1番端の部屋です」
「分かった。
波瑠さんの方は身体大丈夫なんですか?」
「どうですかね。
ちょっと不安はありますけど、なんとかします」
「1人で解決しようとしなくても良いと思うよ。
月島に頼るのもありだからね」
「え…?」
「俺は木兎さん程鈍くない」
その言葉で全て悟った。
京治くんにはバレている、と。
「頼ってばかりで申し訳ないくらいですよ」
「なら良いんだ。
俺も木兎さんが余計なことをしないように目を光らせておくからね」
「それは助かります」
良い人には良い人なんだけどね。
良い人過ぎるというか、真っ直ぐ過ぎるというか。
とにかく裏表がない人。
常に全力で、手を抜くことを知らない。