第43章 実力
「後半までずっとるぅのこと信じてやれなかったでしょ。
トスの高さ、タイミング、距離。
全部合ってなかったから。
女子に届く訳ないってトスを妥協しただろ。
だから途中からマッキーが上げるようになったんだよ。
女子だとか、非力そうだとか。
そんなこと気にする前にスパイカーが打ちやすいトスを最優先に上げろよ。
最高のトスを上げて、それでもダメだった時そこで初めてそういうこと言いなよ。
ね?」
「は、はい」
及川先輩が、真剣に叱っている。
「おーい、誰か居るかー?」
「あ、木兎さん」
「お、彼女ちゃんじゃん!
練習しようぜ」
「別のブロッカーと練習してたんじゃないんですか?」
「そうなんだけどよー、皆早々に逃げやがって。
全然練習出来てねーの」
「木兎さんのスパイク練、際限ないですからね。
そりゃ慣れてない人からすると逃げ出したくなる気持ちも正直分かります」
「えー」