第43章 実力
「へっへーん、勝ったねー」
「いっぱいいっぱいだった奴が何言ってやがる」
ガン、と鈍い音がする。
「いったー。
暴力反対だよ!岩ちゃん!」
「及川先輩もイズミ先輩も、威力上がってましたね。
全く気が抜けなかったです」
「ふん。
そりゃ俺だって努力してるからね!
ま、どうせ天才には敵わないけどさ」
「その天才嫌いをなんとかしてくれると助かるんですけどね」
合宿中も飛雄に突っかかってばかりだ。
「柏木も相変わらずだな。
特に超インナースパイクは肝を冷やした」
「少なからず肩に負担はかかるんですけどね」
「やっぱよく見てるな。
あのフェイントの時の及川の顔、なんかすげースカッとしたわ」
ワシャワシャと頭を撫でる花巻先輩。
「聞こえてっから!」
「聞こえるように言ってるからな」
「すげ…」
「な?だから言っただろ?
こいつは女だとか、そんなの関係ねェって」