第31章 再会
「私が得意なのはネットに近めのトス。
高さは…えっと、海さんの高さと同じぐらいかな」
「分かった」
ボールを1つ手に取ると、コートの左端に移動する。
そして研磨くんの頭上に山なりのボールを放ると、研磨くんは言われた通りのコースにトスを上げてくれる。
ピンポイント、完璧なトス。
それを正確に掌で捉え、打ち下ろす。
「ほー…」
「どう?」
「大丈夫」
研磨くんは基本インダイレクトデリバリーのトスを上げる。
「んじゃ始めっけど良いか?」
「「「あっす」」」
「お願いしまーす」
「「「お願いしゃす」」」
「そっちサーブで良いぞ」
私のサーブで試合が始まる。
ボールを2、3度床につき手で捉えると、深く息を吐き出した。
「ふーっ…」
狙うところはただ1つ。
性格が悪いと言われようが、それは変わらない。
弱いところは叩くまで。
「取る‼︎…あっ」
リエーフくんのところ。
腕がボールの勢いに弾かれ、ボールはコート外に飛んで行った。