第30章 告白
帰り道、山口くんは用事があるみたいで途中で別れた。
「あのさ、蛍」
「何?」
幸か不幸か、今は蛍と2人きりだ。
「私蛍のこと好きだよ」
気がついたら言わないと気が済まない、この性格。
言わなくてモヤモヤするより、言ってスッキリした方が良いと思う。
それが例えどんな結果になろうとも。
「…………」
長めの沈黙。
だが、その間も歩みは止めない。
この沈黙が何を意味するか分からない程、私は子供じゃない。
「…ごめん、急にこんなこと言われても困るだけだよね。
私気づいたら言いたいタイプだから」
抱えたまま、黙ったままなんてことは出来ない。
「…よく分からない。
波瑠さんが他の人とは何か違うってことは分かるけど。
どうしたいかなんて、まだ考えられない。
でも今の関係は壊したくない」
「私も壊したくない。
だから今まで通り接してくれれば良いよ。
多少引きずるかもだけど、すぐ吹っ切るから」
切り替えるのは得意な方だ。
「分かった」
人生2度目の告白は失敗に終わった。