第27章 狼
翌朝。
起きてすぐ身体の軽さに驚いた。
あれだけ動いたあとだから、多少疲れが残ってるかと思ったのに。
蛍のマッサージのお陰かな。
「おはよう、波瑠さん。
昨日は背中ごめん、大丈夫?」
「背中?」
「壁に押しつけたこと」
「平気。
蛍が気にすることじゃないでしょ」
「気にするよ。
波瑠さん傷つけると清水先輩が怒る」
「怖いの?」
「清水先輩が怒ると西谷さんと田中さんが騒ぐ」
あぁ、そういうことね。
「とりあえず大丈夫、なんともない。
むしろマッサージのお陰で身体軽いし。
それとこれ、ありがとう」
昨日借りた服を洗濯し、紙袋に入れて返す。
「あぁ、うん」
「今日山口くんと一緒じゃないんだね」
いつも隣に居る山口くんの姿がない。
「来てすぐ日向に連れてかれた」
「朝練前に?」
「ブロック飛んで欲しいんだってさ」
「蛍は拒否したんだ」
「当然でしょ」
多分外でやってるんだろうな。