第26章 遭遇
のぼせない内にお風呂から出た。
用意された服に袖を通す。
蛍の部屋まで歩いて行くと、ヘッドホンで何かを聞いているところだった。
私が入って来たのに気づき、ヘッドホンを外す。
「お風呂ありがとう」
「別に」
いくら私の体格が良いと言ってもやはり蛍の服はサイズが大きいようで、肩のところがズレてしまう。
「…」
「何?」
ジッと見つめて来る蛍。
「なんかエロイよね」
「は?」
蛍の口から出たとは思えない言葉。
「なんでもない」
スッと顔を逸らされた。
「蛍ってたまに分からないとこあるよね」
「それ君に言われたくないんだけど」
はぁ、と溜め息を吐かれた。
「蛍って数学得意?」
「まぁ、それなりに」
「今日のとこ教えて貰っても良い?」
「図形?」
「そう」
「嫌だけど」
そんなあっさり。
まぁ、自分もそういう対応するけど。
「じゃあ良いや」
嫌なのに無理に頼むことないしね。