第26章 遭遇
「空いたよ」
「っ…」
ドアが空いたことに気がつかず、急に声をかけられて肩が跳ねた。
「え、何?」
「ビックリした…」
心臓に悪い。
まだ凄いバクバクしてる。
「ちょっと大丈夫?」
「大丈夫じゃない」
急に驚かされるの本当苦手だ。
多分今凄く情けない顔してる。
「ちょっと待ってて」
そう言うとと部屋を出て行った。
うー…最悪。
自分の弱いところ見せちゃったな。
つけ込まれたらどうしよう。
“ あいつ ” とは違うって分かってても警戒してしまう。
「はい、これ」
グラスに並々と注がれた透明の液体。
「普通の水」
「あ、ありがとう」
それを受け取ると少しだけ口に含む。
「驚かされるの苦手なの?」
優しい手つきで背中をさすってくれる。
「…苦手」
みっともないや。
「それ飲んで落ち着いたら風呂入って来なよ」
「分かってる」