第25章 憂鬱
ロードワークから戻ると。
腰に手を当て、仁王立ちしている澤村先輩。
その前に正座して頭(コウベ)を下げている2人。
「高校生にもなって説教されてるよ」
清水先輩からタオルとドリンクを受け取る。
「懲りないなぁ、2人」
「勇気あるなぁ…」
苦笑している菅原先輩と、顔を引き攣らせている東峰先輩。
「大地さん怒らせるとか勇者だな、あいつら」
「最早命知らず!」
それは正論だ。
「スガ、そっちは大丈夫だったか?」
説教を終えたらしい澤村先輩には、もう先程の雰囲気の名残りすら感じられなかった。
むしろどこか恐縮しているような。
「ん、問題ないべ。
皆良い子だからな」
と、2年2人に目を向ける。
「「…」」
バッと慌てて視線を逸らした。
「あの月島も普通にコミュニケーション取れてたし」
「おぉ…」
大袈裟に肩を震わせている。