第25章 憂鬱
憂鬱な気分のまま、教室に戻る。
「大丈夫?
この世の終わりみたいな顔してるけど」
「…全然」
これからのことを考えると、どうしても溜め息が漏れる。
「あのお嬢様、男バレのマネージャーやるとか言ってた」
「はぁ?
嫌なんだけど」
そりゃそうだよね。
「澤村先輩、拒否してくれないかな」
「どうだろ。
日向と影山は初日から出禁食らってたけど」
「喧嘩でしょ?
前に聞いたことある」
「そう。
バカだよね、本当」
「いつものことでしょ」
1限目なんだったかな。
「蛍、1限目って何?」
「数学だけど」
…数学か。
「苦手なの?」
「図形が」
計算は普通に出来るけど、図形だけはどうしても手間取ってしまう。
「なんかそんな顔してる」
それどんな顔?
「蛍は苦手な分野とかなさそうだよね」
なんでもそつなくこなしてそう。
「まぁ、特にこれっていうものはね」
正直そういうの羨ましい。