第23章 壊れた心
部活終了後、片面の片づけとモップがけをする。
「そういえば波瑠って兄ちゃん居るって言ってたよな?
そいつもバレーやってんの?」
知らないってある意味最強だな。
「さぁ」
「…なんだ柏木、お前兄貴居んのか」
「まぁ、一応…」
「ふーん、そうか」
何か考えている様子だったが、それをあえて聞く気はない。
「それひょっとして…羅樹(ラキ)か…?」
「‼︎」
出る筈のない名前に思わず息を飲んだ。
「そうか、お前はあいつの…」
たったそれだけで察したようだ。
「烏養さん、羅樹さんと知り合いなんすか?」
「なんだ、影山も知ってるのか。
あぁ、まぁ知り合いというか後輩だな」
後輩…。
「こいつの兄貴、つまり柏木羅樹は俺の1つ下の後輩だ。
烏野バレー部のOBで正セッターだった。
俺が高校3年間で試合に出たのは、そいつがケガで出れなかった1回だけだったよ。
あいつはバケモンだ。
天才を通り越してな」