第21章 体育
「眠…」
欠伸を噛み殺しながら通学路を歩く。
今日は久々の朝練なしの日。
連日の疲れもあってか、昨日はぐっすり眠ることが出来た。
「一応練習やってないかだけ見とかないと…」
多分やってないとは思うけど、念の為に。
「良かった、誰も居ない」
それを確認すると足早に教室へと向かう。
「早いね」
月島はすでに席に座っていた。
まだ1人しか来ていないみたい。
「好きで早く来た訳じゃないから」
「ふーん、まぁいいや。
私寝るから予鈴なったら起こして」
「えー…面倒くさい」
「宜しく」
用件だけ述べ、机に突っ伏す。
なんとなくまだ寝足りない。
学校で寝るなんてこと初めてだ。
いつもどんなに寝たくても寝られないから。
真面目って訳じゃないけど、なんだか周りの音や気配が気になってしまうのだ。
顔を伏せるとすぐに睡魔が襲って来た。
「…僕も一応男なんだけど」
ボソリと呟いた。
もちろんその呟きが波瑠の耳に届くことはない。