第20章 好物
「なんで?
なんで嫌いなの?」
「あ?」
「うっ…お、教えてくれても良いじゃんか!」
日向、相変わらず気が小さいな。
「こいつのスパイク、手首のスナップ交えて打つから返しににくいんだよ」
「へーっ」
そんなキラキラした目で見られても困る。
「そうなのか⁉︎」
食いつく西谷先輩。
「まぁ、まだ見せてはないですけど」
「今度打ってくれよ!」
「…機会があれば」
もう慣れたから、そんなに手首に負担がかからないから別に打っても良いか。
「封印してたんじゃねぇのか?」
「なんかもうバカバカしくなって来たから」
あんなこと、いちいち気にしてたらキリがない。
過去のことを引きずるとか、らしくないし。
「ふーん。
一応スランプは抜けたのか」
「スランプじゃなくてトラウマ」
ほとんどね。
「お前の長所はその手首の器用さと瞬発力、観察・分析力だけだからな」
「一言余計」