第18章 勝ちの価値
「リエーフくんのレシーブは、しなやかって言えば聞こえは良いんだけど軸が弱いんだよね」
「弱い…っすか?」
一体どれぐらい動いたのか、変人コンビ以外はコート外に座り込んでいる。
「スパイクの時のそれはある意味不思議で攻撃としては効果ある。
でもレシーブは逆にリエーフくんの良さを殺してる。
レシーブの時だけは腕を固めて、身体全体で返さないとボールの威力に負けてどっか変な方向へ飛んでくよ。
ブロックにも隙はあるし。
正直、宝の持ち腐れとしか思えない」
「言うねぇ、彼女ちゃん。
そんでよく見てる」
「普通だと思いますけど」
「…」
京治くんは説明に聞き入っていて、深く頷いている。
「とりあえず夜久さん待ってるから行こうよ」
「へいへーい。
じゃあ抜け番に入ってよ、彼女ちゃん」
「嫌です、面倒くさい」
「黒尾ー」
「えー」
「まだなんも言ってねぇだろ!」
「だってこいつ全然挑発に乗らねぇし、面白くねぇ」
そんな理由で他人を挑発してたのか、この人は。