第16章 尊敬
「「「お願いしゃーすっ」」」
向かい合い、互いに挨拶をする。
音駒の皆は見学、烏野の2年生は得点係をしてくれている。
「ナイッサー頼むぞ、柏木」
「はい」
サーブ権はこちら側のようだ。
初っ端のサーブは少し緊張するけど、ここは後衛に居る木兎さんを狙って牽制かな。
無回転でボールを上げ、掌の下の方で押し上げるようにサーブを打つ。
少しフヨフヨしているが、ボールは真っ直ぐ飛んでいく。
このままいけば確実にアウト、そんなボールだ。
「アウトだアウトー」
木兎さんが構えを解いた瞬間。
「何⁉︎」
ボールが直角に曲がった。
「こんにゃろ!」
慌てて手を伸ばすが、時すでに遅し。
ポンポン、と軽い音を立ててボールが相手コート内に落ちた。
ピッと得点を知らせる短い笛の音がする。
先制点は烏野だ。
「ナイスだ!柏木!
あれ取ってみてー!」
グッと親指を立てる西谷先輩。