第6章 書類配りIV
「(こいつら…何の話をしてる?)」
回すって何だ…?
誰を脅すって言った…?
下衆な笑いが響く中、流歌は耳を疑うような会話を聞き、怒りを上昇させる。
「(こいつらも…私の仲間を傷つけるのか?)」
流歌の瞳が虚になる。
「(ダメだ…落ち着け…。怒りを抑えろ…。じゃないと…───)」
“殺す価値のある奴だ”
「!!」
聞こえたのは
“得体の知れぬ聲”───。
「(出て来るな。引っ込んでろ。)」
“このまま奴等を許すのか?”
“お前の仲間を侮辱されたんだぞ?”
“あの連中は『悪魔』だ!”
“お前から『また』大事な物を奪おうとしてる!”
“お前が守りたいものを奪おうとしてる!”
“許せないだろう?”
“だったら私に任せろ”
“奴等を葬り去ってやる!”
煩い聲が頭の中で響く───。
嘲笑う聲は悪に満ちていて
とても悍ましい音だ───。
“遠慮する必要はない”
“『悪魔』は殺せ。”
“お前は『───』なんだから…!”
「(『───』…?そうだ…私は『───』だ。あの時にそう決めたじゃないか。)」
“お前には期待してるぞ”
“私と交わした約束を守れ”
“それが…お前の決めた道だろう?”
“ほぉら…少し協力してやる”
“だから…狂ってみせろ──!!”
「…ろす…」
「あ?」
ボソリと呟かれた声。男は聞き取れず、流歌の髪を掴んで持ち上げる。
「なんて言ったのか聞こえね───」
ガッ!
「!?」
男の言葉は遮られた。男の視界が狭くなる。それもそのはず。流歌の手が男の顔面を掴んでいるからだ。そして無言の流歌は男の顔を掴んだまま、地面に叩き倒す。
ガアァァアン!!!
「がっ!!」
あまりの痛さに苦痛の声を出す。仲間達も驚いた顔を浮かべていた。
「おい!何してやがる…!」
気付けば流歌は男に馬乗りになり、片方の手はずっと男の顔を押さえつけている。
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