第43章 Around-宮殿巡り-
「君達は霊王の命令でやむを得ず瀞霊廷を離れるしかなかった。戦いたかった気持ちは僕らと同じだ。悪いのは君達じゃない。だから…頭を上げてよ、梨央ちゃん」
京楽の言葉に申し訳なさそうな表情を浮かべて頭を上げる。
「それで…どんな用件で来たのかな?」
「今回は霊王の御意思で護廷十三隊を立て直しに来ました。恐らくは…零番隊舎も無傷では無いかと。けどまず、キミを霊王宮へ連れて行く」
梨央は一護を見る。
「…梨央」
「何」
「その霊王宮ってとこに行けば俺の天鎖斬月を直せるか?」
「…それは無理だ。直す事はできない」
「そう…か…」
「だが…」
「!」
「霊王宮には宮廷内にしか存在しない超霊術がある。その業を用いて“元の刀に近いものへと打ち直す事はできる”」
「───わかった。
連れて行ってくれ、霊王宮へ!」
「お望み通りに」
梨央は唇の端を上げて笑った。
◇◆◇
【志波空鶴邸】
「───で、なんで俺はこんなトコにいるんだ?」
「こんなトコたあ何だこのスットコドッコイ!!久しぶりのゴアイサツがそれかよ!?うち上げてやんねぇぞ!!」
「うち上げ…って何を?」
「これだよ。
この天柱輦に自力で霊王宮に戻る機能は無い」
「なんだよ!?
超霊術があるんじゃなかったのかよ!?」
「あっはっは」
「笑って誤魔化しやがった…!」
「そうだ。まだキミにお礼を言ってなかったね」
「!」
「瀞霊廷を護ってくれてありがとう」
両腕を組んで感謝の言葉を一護に伝える。
「いや…礼をされるほどの事は何も…」
一護は眉を潜めて申し訳なさそうに言う。
「悪い…親玉を取り逃がした」
「親玉…」
あの男が彼に接触したか…
「そう…でもお礼は取り消さないよ。キミがいてくれたから瀞霊廷は最小限の被害で済んだ。尸魂界を護ってくれてありがとね、いっちー」
にこやかに笑うと一護は困った様に笑い返した。
「さて…空鶴さん、頼みます」
「よーしうち上げるぞ!さっさと乗れ!」
ドンッ
空鶴の打ち上げで天柱輦は空高く飛んだ。
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