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✱でもきっとハッピーエンド✱【BLEACH】

第1章 仕組まれた罠




「…何故だ」



冷たさを含むその声には憎悪が孕んでいる。少女は四つん這いのまま、ピタリと動きを止めた。



「何故、“貴様のような存在は罪に問われない”」



「………………」



「死刑にするどころか…生きる事を許される!!」



怒りを露わにした看守は掌を強く握り締める。その心情を察した少女の顔からおどけた雰囲気は消え、檻に近い壁に背を預けた。



「貴様は大罪人だ。貴様のような存在は罪に問われるべきだ」



「…罪には問われるさ」



少女は悲しい隻眼で一点を見つめる。



「それは何時だ」



「約束を果たした時だよ」



「…約束?どういう意味だ?」



「意地悪な監視役さんには教えない」



暗闇の中で少女は軽い笑みを浮かべた。



「ねぇ知ってる?監視役さん」



話題を変えるように促す。



「今日で百年だよ」



「………………」



「私の死に顔を拝めなくて残念だったね」



あははと笑う少女だが看守は無表情を貫き、先程の怒りを鎮め、再び少女の存在を消す。



「キミにはとても感謝しているよ」



「貴様に感謝される覚えはない」



「まぁ聞いてよ。最後の言葉じゃないけどさ、今日まで私の監視役を続けてくれてありがとう」



「…………………」



「他の連中が嫌がった私の監視をキミだけが引き受けてくれた。そのクソ真面目な面倒見の良さに感謝状を贈呈したいよ」



「感謝状などいらん。貴様の監視役を引き受けたのは仕事だからだ。それでなければ誰が貴様のような存在の面倒など見るか」



「はは、本当にキミは私が嫌いだな」



看守は少女に背を向け、扉に向かって歩き出す。口元に笑みを湛えたまま、少女は看守の男の背中に言葉を投げ掛けた。



「また会えたらいいね。今度は監獄の外で」



ぴたりと足を止めた看守の男は、数秒の沈黙を保った後、振り向く事なく、こちらを見て笑んでいるであろう少女に向けて言葉を発した。



「監獄の外でも貴様に会わない事を願う」



それだけを告げ、重々しい扉を開けて看守の男は出て行った。



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