第19章 キケン ト オアソビ
「痛えええっ!!!!」
「(嘘だろ…あんな巨漢男を投げ飛ばした!?)」
「言ったろ、無傷で帰さないって」
冷たい声は空気をも凍えさせる。
「スゲェ…」
それしか言葉が出てこなかった。一護は口を開け、瞠目する。ヤミーは叩きつけられた衝撃で全身に激痛が走り、動けない。
「(…あの女、何をした…?)」
ウルキオラだけは豹変した梨央の変化に気付いていた。
「(この“違和感”は何だ…?)」
目を見開いて梨央を見る。
「いつまで寝ている。私を殺すんだろう?早く殺してみ給えよ。それとも口先だけだったか?」
仰向けにひっくり返ったヤミーを見下ろす梨央の表情が愉しげに歪む。
「弱い癖に莫迦みたいに威勢を張るなよ。だからそうやって醜態を晒すんだ」
「この野郎ォ…」
「ああ、なんて最高の気分なのだろう。自分より遥かにデカい敵が私の手で地面にひれ伏す姿は…とても心が躍る」
青い瞳が光を帯び、暗く色付く。
「“もっと…私を楽しませろ”」
狂喜に染まる表情に、その場にいる全員が、ぞくりと身体を身震いさせる。だが梨央は不気味な笑みで嬉しそうに笑い、ヤミーを見下ろしている。
「さぁ来い破面。キミ達の相手は私が引き受けよう。なァに…遠慮は無用だ。キミ達など私の力を使い、全力で叩き潰してやるから殺す気でかかって来たまえ」
自信に満ち溢れた表情。敵を挑発するような態度。案の定、彼女の挑発に乗ったヤミーは怒りを爆発させた。
「あああああ!!!ぶっ殺す!!!」
「いっちー、そこから動くな」
ガバッと起き上がったヤミーを見て、一護に声をかける。すぐにヤミーの手が伸び、梨央を捕まえようとする。
「だから鈍いと言ったはずだ」
瞬歩を使い、ヤミーの前から姿を消す。梨央を捕まえられなかった手は宙でスカッと空を切る。
「どこ行きやがった!」
「ここだ」
「!」
ヤミーは声がした、空へと顔を上げる。そこにはヤミーの頭上より高い場所で“立っている”梨央がいて、不敵な笑みを浮かべていた。
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