第15章 暴かれた真実と罪の代償
『───ちゃん!これも食べて!』
『うん!ありがとう!』
友達の家に遊びに来ていた黒髪の少女は差し出されたお菓子を美味しそうに食べる。
『こっちの絵本、読んでもいい?』
『もちろんいいよ!』
『あなたの家はいいなー。美味しい食べ物だってあるし、たくさん絵本もある。あたしの家はビンボーだから、あなたの家とは大違いね』
『お兄さんに買ってもらえないの?』
『そんな我儘は言えないよ…。早くにパパとママを亡くしてお兄様があたしの為にお金を稼いでくれてるの…。頑張ってるお兄様に…そんな望みは言えない…』
両親が死んでからと言うもの
男手一つで育ててくれた兄は
少女を養う為に出稼ぎに行っている
『そりゃあ…パンの耳とスープじゃなくて、もっと高級な物が食べたいし…お洋服だってあなたみたいにキレイな物を着たい…』
『それを伝えたらいーのに』
『それだとお兄様を困らせちゃう…』
だから我儘は言えないのだ。
可愛い洋服も
綺麗な装飾品も
ずっと我慢している。
『ねえ!いいもの見せてあげる!』
『いいもの?』
部屋の窓際に置かれている棚にある宝石箱を持ち出し、蓋を開け、少女に見せる。
『本当は触ったらダメって言われてるんだけど…』
『わあっ!綺麗なブローチ!』
『すっごくキレイでしょ?』
『うん…すっごくキレイね…』
真紅に光り輝くガーネットのブローチ。少女は見たこともない輝きに目を奪われた。
『飲み物のおかわりいる?』
『うん』
『じゃあ持ってくるから待ってて!』
ブローチを宝石箱に戻し、そのまま放置して部屋から出て行った。
『……………』
少女はじっと宝石箱を見つめている。まるで何かに取り憑かれたように宝石箱から目を離さない。
『色んな宝石があるのね…』
宝石箱の中からサファイアのネックレスを取り出し、掲げて見せる。窓から入り込む光が宝石を美しく輝かせてくれる。
『なんて綺麗なのかしら』
“欲しい”───そう思ってしまった。
欲しくて欲しくて堪らない
どうすれば手に入るのだろう…?
そして…悪魔の誘導が始まった。
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