第15章 暴かれた真実と罪の代償
「全ての権限を持つ“彼女”ならば…あの連中は嫌でも聞く耳を持たざるを得ない。それがどんなに忌み嫌っている存在だとしても…ね」
流歌は忌々しそうに顔をしかめる。
「さあ、冴島四席。」
「…やってない」
「……………」
「桃香は…やってないもん」
「(この女…どこまで往生際が悪いんだ。)」
流石に苛立ちを通り越して呆れる。
「そうですか…罪を認めませんか」
ぞわっ。
「!」
身の毛がよだつ程の冷たさが地肌に突き刺さる。ピリピリとした空気が漂い始め、桃香は自身の身体を抱きしめた。
「罪を犯しておいて何も犠牲を払わないなんて…そんなの許されない」
そして彼は桃香に聞こえるくらいの小さな声で呟いた。
「“罪人には罰を”」
「っ!」
その時の流歌は少し違って見えた。どこか歪んでいるような、そんな雰囲気がある。
「貴女には絶対に罪を認めさせる」
「(なんなのよコイツ…。まるで“罪”に執着があるように思える…)」
「次の手段を使いましょうか」
「次の手段?」
「入って来てください」
流歌の合図で開かれた扉。そこに立っていたのは女性だった。
「お待ちしておりました」
女性は穏やかな表情で微笑む。
「ようこそ 華月詩愛さん」
「こんにちは」
懐かしむように目元を緩める。
「相変わらず取り巻きがいるわね」
呆れるように言う詩愛だが、卯ノ花の姿を見つけると嬉しそうに笑み、軽く頭を下げた。それに応えるように卯ノ花も笑い返す。
「ア…アンタ…」
「!」
「何でここに…」
「久しぶりね?冴島さん。
元気そうで何よりだわ」
その眼は決して笑ってなどいない。
「貴女に言いたいことがあるのよ」
詩愛は低い声で告げる。
「“あの時はよくもやってくれたわね”」
「……………」
「総隊長に頼んで特別に許可して頂きました。この方は数ヶ月前、体調不良が原因で死神の道を諦めて脱退された華月詩愛さんです」
桃香から苦虫を噛み潰したような表情が窺えた。
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