第2章 夏。
「たまにはお迎えに上がるのも悪くないですね?」
一さんが私を心配するように、私だって彼が心配だ。
一さんはいつ命の灯火が消えてもおかしくない。
あと数えられるだけの命。
共に生きられるのも幾夜か。
この蛍達と同じだ。
心配しない訳がない。
そう仄めかして一さんの顔を覗き込んだ。
じっと彼を見つめて返事を待つ。
「…たまには寄り道も悪くないな」
素直じゃない照れ屋な彼らしい返事に、思わずぷっと声に出して笑ってしまった。
少しでも長く続いてほしいと願う中で、この時間がとても愛しく感じた。