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【マフィア松】Focus Me【おそ松さん】

第1章 カードの手が悪くても顔に出すな


四人がミルクティーを飲み終えると、おそ松が立ち上がり、伸びをする。

「じゃ、俺たちは部屋に戻るか。
明日家まで送るから、ムーメちゃんも、ちゃんと寝ろよー」

いつの間にか送ってもらうことになっていたようだ。
家を知られることになるが、まあ大丈夫だろう。

『すみません何から何まで…』

「いーっていーって。
俺も女の子とドライブできるの嬉しいしさ。
家はどの辺なの?」

『えーっと、アカツカストリートの薬屋さんわかりますか?
そこの上の階なんですけど…』

おそ松は少しの間唸っていたが、トド松が横からスマホの画面を見せると、合点がいったらしく

「あー、わかった。
結構近いのなー、ドライブにもならないよ」

と、画面をスライドさせながら言う。

「おそ松兄さん、女の子と二人きりにしておくとすぐセクハラするじゃん」

「セクロス!?」

「セクハラだよ、十四松兄さん」

トド松はおそ松からスマホを奪い取り、ポケットにしまった。

「じゃ、僕たち出てくけど、部屋の物適当に使っててね。
廊下でて左にトイレとシャワーあるから」

ほら行くよ、とトド松は兄二人の手を引っ張り、部屋を出て行く。
おやすみなさい、と挨拶すると三人もそれに返事をして、扉を閉めた。

それを見送ってから、一度横になる。
そういえば私の持っていたバッグはどこにあるのだろう、と思い再び起き上がる。
すぐソファーの後ろ、並んだパソコンデスクの上に置いてあるのを見つけた。
そのままの体勢で、ショルダーストラップを掴み、そのまま引き寄せる。
私の知っている通りの触り心地と重さに安心感を覚える。

スマホを取り出すついでに中身も軽く確認するが、特に変化はない。
スマホを見るが着信はなし、時刻は23時を表示していた。

横目で天井の角に設置された監視カメラを見ながら考える。
ここから逃げるのは簡単だが、次回ターゲットに接触するのは難しくなるだろう。
不審な点は無くもなかったが、彼らから敵意は感じなかった。
今急いで逃げ出すのはデメリットが多すぎる、と結論づけ、目を瞑る。


楽しかったな、と思う。
そういえば、誰かに心配されたのも、賑やか食事をしたのも久しぶりだった。
楽しくて、嬉しかった。

頭をふり、言い聞かせるように繰り返す。
大丈夫、私はちゃんとわかってる。

仕事は、二日後。
状況は、最悪だ。
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