第3章 些細な変化
『蛍くーん。コーヒーでいい?』
キッチンから顔を出した
布施がそれだけ言って
また引っ込む
「うん、なんか寝不足だから
ブラックにして」
『はーい』
何だ普通じゃん。
席に付き朝ごはんを済ます
『ね、蛍くん、今日あの子達と
試合なんでしょ?』
「そうだけど?」
『じゃあ、姫凪先に帰っとくね』
は?いつもの布施なら絶対
言わないでしょ?これ
「なんで?」
いや、別に煩わしくなくて
いいのに
なに言ってんだろ僕
『え?だって姫凪…
邪魔じゃない?』
ホント。雨でも降るんじゃない?
「キミが僕を邪魔しに来るのとか
今に始まった事じゃ無いし
来たいならくればいいでしょ」
『え!?うん…行く!あの
学校も一緒に…行ってい?』
「今日なんなの?
らしくなさすぎて気持ち悪い」
『そうかな?』
そうだよ。
「キミの勝手だけどね」
いつもみたいにしとけばいいんだよ
『行く!試合みたい!
学校も一緒に行きたい!』
布施が嬉しそうに
飛び跳ねながら僕にまとわりつきだした
「はいはい。ほら行くよ」
やっといつも通りに
僕の側に来た布施に
少しホッとする