第18章 千代に八千代に………
明光の手を握り締めて
祈る様に目を瞑る
私の耳に
「下を向くんじゃねえええええ!!!
バレーは!!!
常に上を向くスポーツだ」
烏養さんの声が響く
ガバッと顔を上げた時
蛍くんが帰ってきた
『痛そうな指…』
「きっとチョット前の蛍なら
試合なんか出てないな
むしろ医務室で寝てる」
『でも、きっと……』
「出るよ。なんせ
勝つって姫凪に
約束してたしなー!
クッソ!我が弟ながら惚れるわ!」
蛍くん。
私は痛いのを
無くしてあげられないし
アドバイス出来る程詳しくもない
小さい身体から出す声は
届かないかもしれない
でも…
「蛍!!頑張って!!
見てるから!!」
気持ちだけはズット一緒
私も明光も一緒に
戦うから…
勝って!蛍くん!!