第16章 隔て顔

「そっちチョイス！？
苦い思いの方だろ！普通！」

だからそっちは
考えたくないんですってば

「興味ないんで」

赤の他人にあっさり曝け出せる程
浅い傷じゃないんだよ

「…だあ！捻くれメガネ！！
別に説教しようとか
指導しようとか
そんなつもりねぇんだから
聞くだけ聞いとけ！」

「だから余計なお世話…」

「姫凪と元に戻りたいなら
聞いとけよ？
取り返しつかなくなる前に」

黒尾さんの言葉は
僕の足を完全に止める