第1章 アニキの元カノ
「姫凪、飯〜♡早く♫」
アニキが空気を読んだのか
わざとらしく明るい声で布施を
後ろから抱きしめて言った
『あぁ!うん!スグだよ!!
ほら、蛍くんも手伝って』
アニキから解放された
布施に手を引かれて
お茶碗だしたり箸並べたり
子供のお手伝いみたいな事をさせられる
布施はもういつも通りに戻ってて
楽しそうに盛り付けをしてる
「さっきはゴメン」
すれ違いざまに呟くと
『別に大丈夫だよ!姫凪は
強い子だから♫』
バカみたいに明るい声で
ウソみたいに幼い顔で
布施は僕に笑いかける
「見た目は今日のチビより
弱そうだけどね」
『見た目はいーの!女の子だもん!』
僕のイヤミにも布施は
いつもニコニコしてる
そんな所がホントバカ過ぎて嫌い
でも、ホントに少しだけど
僕はその笑顔が好きだったんだ