第12章 顔
ボスッ!
「あ"ぁぁぁーーーーー!!! ムカつくっ!」
ボスッ!
ボスッ!
自室でクッションを殴り
一日の憂さ晴らしをする
そんな俺を
ソファーに座って黙って見てる男が一人
コイツにとっちゃいつもの光景だ
珍しくもなんともないだろう
『大丈夫?』
とか
『何かあった?』
とかのセリフがコイツから出てこないのは
そのせいだ
「はぁ…っ、 ふぅ…」
「気が済んだ?」
声のする方をチラッと見れば
涼しい顔をしてニコリと笑う
「お陰様で」
「そ? んじゃ、飲もっか」
まるで自分ちのように当たり前に冷蔵庫を開け
キンキンに冷えたビールを二本、テーブルの上に置いた
「お疲れ」
「サンキュ」
俺はソファーの下のラグに
ヤツは足を降ろさず、ソファーに座る
それがいつもの俺らのスタイル