第12章 顔
「ああっ…もう限界っ…!」
「まだまだ始まったばっかだぞ?」
「だってっ…!」
「あっ!バカ!動くなって!」
俺は絵を描くのが好きだ
趣味が高じて個展まで開いてしまった
まぁそれというのも
翔ちゃんが社長に掛け合ってくれたからなんだけど。
「動くなっつの!」
「鬼!悪魔!」
「なんとでも言えや!
『モデルやるならコレが良い』って言ったのは自分だろ?
“考える人” ならぬ “考える雅紀.com”」
「言ったけど…そもそもヌードにヘルメットっておかしくない?!」
「おかしくないよ?」
「…そう?」
コイツは単純である。
絵のモデルを頼んだらあっさり引き受けてくれた
ヌードモデルだという事は今日の今日まで秘密にしていたから流石に戸惑ってはいたけど
『芸術とエロを一緒にすんな』
って言ったら
『わかったよ、俺頑張る!』って
馬鹿とハサミは使いよう…なんちって。
いや、褒めてんだよ?
素直で人を疑わないところは相葉ちゃんのいい所だ
まぁ、そのせいで
騙されたり
利用されたり
得ばっかりじゃないけど
持って生まれたお前のこの真っ直ぐさが
俺は大好きなんだよ?