第12章 顔
ゲームの世界は
俺が俺でない、世界
この世界では
嵐の二宮和也じゃなくて
一人の、ただのゲーム好きオタクとして存在することが出来る
ここでの俺の名前は『ハル』
ハルは、実家で飼ってた犬の名前
今はもう死んじゃったけどね。
『ハル、明日オンライン入れそう?』
『入れるよ
最近忙しくてなかなか来れなくて悪ぃな』
『気にすんなよ!
つーか、ハルは仕事何やってんの?』
仕事か
さて、どうしようか
『プログラマー』
『へぇ!すげーな!』
羅列させたチャットの文字を眺める
ごめんな、嘘付いて。
嘘だらけの芸能界
逃避したゲームの世界でも
結局嘘をつかなきゃなんないのが切ない。
でも仕方ないだろ?
まさか、アイドルやってますなんて
言えないよ。