第25章 収束への旅路
『最近中也さんが蝶に暴言ばっかりいうの』
「何?ご立腹なの蝶ちゃん、中也君に何されたの?」
『ここ数日間ずっと、蝶のことイカれ女って言ってくるの。頭いかれてるって』
中也さんが蝶にも口悪くなってきた、反抗期かな?
なんてすぐそこで携帯の液晶に向かって話しかける蝶を他所に、夕食の後にたらふく連れ回されたデザートを消化すべく横になっている。
蝶の話し相手といえば、トウェインだ。
特に珍しい光景でもなく、隣の部屋に住んでいるのだから会った方が早いだろうに、何やら二人してそれは別にいいんだと電話をする。
恐らく俺が気にしないようにか、はたまたそういう間柄になるつもりはないととっくに割り切っているかのどちらかなのだろう。
お互いにそういった未練のようなものがあるわけでもなく、しかし友人とも違った何か。
まあ、何にせよ信頼関係を築ける人間がいるということは蝶にとって心強いことであるため、特に何かを心配することもなく過ごしている。
会話内容は殆どがスピーカーなためダダ漏れであるし。
「女の子にまぁたなんて言葉遣いを…中也君聞いてる?聞いてるよね、聞いてないわけないよね!レディへの言葉は考えた方がいいと思うよ?ただでさえ口悪いんだから君」
「っせえな、蝶の頭がいかれてんのはとっくの昔からだよ、手遅れだ手遅れ」
つか蝶に対して俺の口が悪くなる原因なんざ一つくらいしかないだろ、アホかこいつら。
「照れ隠しでそういうこと言わない方がいいと思うよ?いつか蝶ちゃん、愛想つかして僕のところにきちゃうかも」
『えっ、照れ隠し?どれが??』
ああ、間違えた、一人とんでもねぇ邪魔者がいやがった。
アホじゃねえのかよ手前、なんでこんなところで感が鋭いんだ本当に。
「蝶が手前のところに行くなんざ地球が滅びたって有り得ねぇよ、渡すか馬鹿」
『ねえねえ中也さん、照れ隠し?』
「照れ隠しなんざしてねえっつの」
『あ、今照れた』
「えっ、今照れたの!?本当ひねくれてるね君!?」
こいつら…
「……手前ら察しのいい箇所が見事に違いすぎて気持ち悪ぃわ…なんだよそれ、逆に息ぴったりじゃねえか」
「妬いた?ダメだよ中也君、蝶ちゃんと僕が相性いいからってそんなにやきもち妬いちゃ」
『え…相性……トウェインさんと?』
「そんな目で見ないで蝶ちゃん…!!?」
なんだかなぁ…
