第25章 収束への旅路
『中也さ「次言ったら…そうだな、俺のお手製プリンが一週間抜きだ」…うん。そうだね』
「……中也?…君、蝶ちゃんにいつからそんなに甘くなったんだい?」
「………今回ばかりはしょうがねえ…だいたい分かってんだろ、もう」
「……」
「蝶?太宰と何してたんだよ?」
二人っきりで。
聞かれて私は、当然のように言ってのけた。
『中也さんのこと辛くさせようと思ったの』
「…言い方が違うんじゃねえのか?ちゃんと言え」
『……気、引きたく…て…』
妬いてほしくて…気にしてほしくて。
他に方法が分からなくて。
私が嫌になるのがこういうことだからって…私が死にたくなるのは、貴方がこういう風に異性に触れられてる事だからって…
そう、思ったのに。
『…気分、あんまりよくない……ねえ、なんで?…なんで怒らないの?……なんで、叩かないの?』
「…お前のこと辛くさせた俺が悪いからだよ」
『なんで?…なんで優しくするの、?』
「……馬鹿…俺とお前はもう同じ身体なんだぞ……妬かされるのがどれだけ辛いか、今身をもって知ってるんだよ…噛み締めてんだよ、ちゃんと」
させちゃいけねえって、分かってたのに。
『……ねえ、初めて取り返してくれないの?』
「忘れたかよ、まだ誰も盗ってねえだろ…お前のそこの初めては」
『…そっか、消毒したんだ………私、中也さんの?ちゃんと全部、全部貴方の?』
「当たり前だ、どこに行って誰に触れられようが…お前は俺のもんだよ。…そいいう体になってんだろ?」
『……蝶、悔しかったの。大人の身体じゃないから…もっと大きかったら、与謝野先生みたいにできたのかなって……もっと魅力的だったらって、わかんなくなって』
ぽつりぽつりと、溢れ出す。
私の心根が、溢れていく。
『だって、中也さんの初めて…私もってなかった。中也さん、皆の前でなら飲んでるのに……私だけ、知らない。私だけ、分からない…』
「…俺が酒飲んで意識飛ばして、お前に何かしたらいけねえから…飲まなかったんだよ」
『……他の人に蝶より近づかれるのも嫌…蝶より見てるのも、蝶より集中してるのも…触れられるのも』
「違いねぇ…でも今回ばかりは、許してくれる?」
『…気になった?…嫌だった?辛くなって、死にそうになった…?』
「……なってる」
『…そっか…私にまだ、優しくできるの?』
