第19章 繋がり
「…と、来客だな」
『へ…あ…』
作之助が言ってすぐ、玄関の前から気配がした。
そしてまたすぐにインターホンが鳴らされて、作之助が外に出る。
「織田、ここに蝶来てねえ…か……ッ!!」
「来てないかよりも、先に言うことがあるんじゃないのか?」
「!…夜分遅くに悪い、こいつ引き連れて探してっと時間がかかって…蝶っ、もう大丈夫だぞ。糞太宰の阿呆は俺が絞めて……って、なんでそんな隠れてんだよ!!?」
「…“白石”、保護者のお迎えだぞ」
人の事幼稚園児みたいな扱いしないでよ、と心の中で反論するも、壁から少し出っ張った柱の陰から出られないでいる。
そういえば中也さんにも、放っておいてなんて酷いこと言って飛び出してきちゃったし。
『……なんで、ここ…?』
「真っ先に探しに来た時には誰もいなかったけどな…お前が行くとしたら織田のところだろうと思ってよ」
『!!…けど私、中也さんに酷いこと言っ「折角迎えにまで来てくれてるんだ、そんなこと気にしてないと思うぞ?中原は」ぇ…う…』
それだけじゃなくて。
なんだか見られるのだって恥ずかしくて、意識すれば意識するほどおかしくなっていってるの。
こんな気持ちもしも知られちゃったらって、自分に全然自信もなくて。
「………可愛らしいだろう、今の今までずっと中也さん中也さんって連呼してたんだぞ白石」
「!お、俺かよ…おい、蝶……お前そこから出て来ないんなら俺が今度はお前の名前連呼すんぞ」
『ひゃっ!?や、やだ…!』
「え゛っ」
作之助が変なことをしたからだ。
名前呼ばれるの一つにも変な感覚が襲うようになってきたじゃないか。
「あー…悪いな、中原。少し恥ずかしがり屋を悪化させてしまったらしい」
『変なこと言わな「恥ずかしがってるだけならいい。とりあえずこっち出てきてくれ」ッ!!?』
手を取られて、結局張本人から外に出されて、隠れる場所のない織田作の部屋の真ん中に座らされた。
と思ったら、本当に絞めてしまったのか中也さんに引きずられてぐったりとしている太宰さんを目の前に座らせられる。
え、何この状況、私また何か言われるの…?
「とっとと言いやがれこの糞鯖が、理解したんなら分かんだろこの木偶」
一段と酷い言われよう。
しかしその後に、太宰さんは真剣な目をして一言言った。
「……すまなかった」