第19章 繋がり

「……顔真っ赤だぞお前、面白いくらいに」

『だ、って作之助、が…っ……あ…えとっ…』

「中原にファーストキス貰われるって想像してみ『わあああ！！！？』！！…中原の事になると本当に分かりやすいな、お前」

『な、何がよ！？変な事言うからでしょう！！？』

「じゃあされたとしたらどうだ？そこに限らずとも、抱きしめられたり、今みたいに頭撫でられたり…大人しかしないような場所にキスされたり」

言われた瞬間にﾌﾞﾜｱｯ、と顔が熱くなった。
多分作之助が言ってるのは、さっきからこの人がキスしてるところのこと。

中也さんにされてとか……いや、あの人がこんなことするはずないんだけど…そんなの、耐えられるわけがない。

頭撫でられるのだけでも精一杯なのに…どれか一つでいっぱいいっぱいなのに。

「俺にされるのには全然澄ましたようだったが…そうかそうか、そういう事か、やっぱりな」

『！？な、何が！！？何がやっぱりなの！！？』

「何がって、お前好きなんだろ？中原の事」

『中也さんは好きに決まってるでしょ！？』

「……ん？…ああ、いや、人間的にというより……男として？」

『だから、好……き…………に…？』

頭が真っ白になった。
ん？何言ってるのこの人、頭のネジ飛んでるんじゃないかしら。

「俺なんかと違ってずっと中也さん中也さんってさん付けだしな？俺といても中也さん連呼だしな？？」

『え…ぅ……っ？お、とことして……って…！？』

「……お前、本当に経験ないんだな？純粋過ぎて驚いた…」

『中也、さんが中也さんで、中也さんだから……中也…さん……ｯ？……！！？』

なぜだか作之助の前ではもう癖のようになってしまった中也さん連呼で我に返って、気が付いてまた正気じゃなくなった。

「いいじゃないか。ちゃんと言えばあいつはなんでもなんとかしてくれるぞ？いい奴だって事は保証する。友人ではあるが人間性としては太宰とは天と地の差でまともな奴だ」

『好、き……っ？わ、たしが普通の人を…！？……す、好きって何…？』

「……その様子だと本当は分かってるんじゃないのか？お前の頭の良さは、話の流れからも十分に伝わったんだが」

『！！』

作之助の意地悪に気付かされたのが釈然としないのは否めない。
けれど、シンプルに分かってしまったことはある。

唇…多分、あの人になら。
拒めない。