第15章 大切な人
『わ、たし嫌って言った…ッ、中也が見えない、の…嫌って……』
「い、いやでも結果的に結構気持ち良さそうに……ッ!!すまん、俺がどうかしてた!!!朝だったから全然考えてなかったがお前…暗いところで…!!」
『薄暗かったから大丈夫だもん!!そんなのより中也いなかったんだもん!!!』
「お、俺!?……お前本当可愛いわ」
『!!い、今そんな事言ったって許さな…っひゃぅん……ンッッ♡』
ヌルリとまた引っ掻くように指を引き抜かれて気の抜けたような甘い声がもれた。
すると勿論反応するのが鬼である。
「…今気持ちいい声出てた気がするんだが」
『き、気のせ…っぁ…ッ?な、に……っ?』
中也の手が私の頬に触れ、それにさえも大きく身体が跳ねて反応した。
少し目線を上げて中也の方に顔を向けさせられると、いつもの様子に戻ったような中也の顔がそこにはあった。
「悪かった、本当……実はしなかっただけでこっから色々考えてたりもしたんだが」
『どういう事ですかそれ!!?』
「いや、何…俺の趣味?お前調教すんの楽しくて楽しくてつい」
『ち、調教って…?……っていうかこの縄早く解いてよ…中也さんに抱きつけない…の』
「!…気にしなくていい……ほら、解いたぞ。そこまでキツく縛ってたつもりは無ぇが…痕になったりはしてね…ッ、?」
開放感が腕に漂ったら、すぐに身体が動いて中也さんの身体に腕を回した。
『………ッ、つ、ぎしたいなら…後ろでしないで…中也さんに障れないのも中也さんが見えないのも嫌…っ』
「……でも縛るのはありなんだ?」
『!!!今日の中也さんなんか嫌!!!』
「何でだよ!!?仕方ねえだろ、大人の男には事情ってもんがあってだな!!?……ってそうだ梶井の野郎…あいついい仕事してくれたなぁ」
『全っ然良くないよ!!私が散々されただけだよ!!!』
「あ?この先にも色々あったやつを使おうと思ってたんだが怖がり蝶さんの事を考えて次に持ち越そうと『しなくていいよ!!』…お前今日子供みてぇだな、本当に」
その声に嫌い…?と小さく呟けば、いいんじゃねえの、と返ってくる。
『……ッ、?…あ……』
違和感を感じて左手を見てみれば腕にまで中也さんの達したそれが白く残っていて、思わずそれを自分で舐めとった。
「!?…お、前……は本当……っ」
『………ごちそうさまでした?』