第14章 わからない人
「舌、出してみろ…もう少し」
あからさまに恥ずかしがりながらも舌をおずおずと出す蝶。
顔を真っ赤にさせ、目なんか行為中なのではないなのかと思うくらいに蕩けている。
こんな表情、見ただけでもクるっつうのに…
『!?…ぁ……っ、や…ッッ』
弄りすぎて敏感になった耳に軽く触れるだけでも体を捩り、感じたような声を出す。
「何が嫌なんだよ…そんな感じてる声出してるくせに?」
『!!…だ、だって中也さんが……ぁッ…』
「俺が何だよ」
『…っ、い、じわる……き、キス…するって言って……っは、ぁッ…や、やめっっ…!?』
可愛い言葉で抵抗する蝶だが、体は素直にビクビクと反応する。
こんなに感度の高ぇ奴だとは思ってもみなかったのだが、それ以上にいじめ甲斐がありすぎて俺の心が揺さぶられる。
……こんな風に思ったことが以前にもあったのだろうか。
次にどうすればこいつがどれだけ可愛い反応をしてくれっか、何故だか本能的に分かる気がする。
耳たぶを甘噛みしていた口を離して、抵抗しつつも律儀に少しだけ開いている口に指を侵入させ、そのまま蝶の舌の裏側を指で撫で上げた。
『アッッ…〜〜!!?』
一際甲高い声が上がったのを確認し、もう一本指を口の中に入れてから、舌の付け根あたりの側面を撫で、それから上顎の裏側をなぞる。
指の動きと同時に蝶の首元に吸い付いてやれば、蝶は膝を立てて体中を大きくビクッと跳ねさせた。
それから少しの間ビク、ビク、と体を震わせ、目尻にじんわりと涙を溜める。
唇を離して蝶の小さな口から指を抜けば、蝶の唾液が糸を引く。
それを堪能するように目の前で舐めて見せると、一層蝶は泣いたような顔をして顔を蕩けさせた。
「美味ぇ……可愛い声。軽くイッたか?」
『……のに…』
「あ?」
『……っ、き、す…してくれ、るって…ッ!な、なのになんで…っ』
「仕方ねえだろお前見てっといじめたくなったんだよ」
『だ、だからって…こんなッ』
蝶の額と自分のとを合わせて、目を覗き込むようにしながらこんな?と聞き返す。
『よ、弱いところばっか…』
「気持ち良さそうにしてたじゃねえか…可愛かったぜ?お前」
『そういうの…っ……な、なんで舌出したのに…キス…』
「だって俺、お前から深い方のキスしてくれってちゃんと口にして強請られてねえからな」
