第3章 春の日
桜が咲いている。
薄紅色の花弁が風にさらわれて舞う。
空気も薄く桃色に色付いているかのような美しさ。
今日、私達は正十字学園に入学する。
急に進路を変えて両親だけでなく先生方もすごく驚いていた。
私の進路は特進科。竜ちゃんも一緒だと両親を説得し、レベルを上げたいと説き伏せなんとか入学出来た。
志摩さん、子猫丸くん、そして竜ちゃん。
4人で桜並木を歩いていく。
着慣れないノリの効いたシャツとセーラーカラーのブレザー。
タイはリボン結びにして。新しい制服はただそれだけでワクワクする。
男性陣も普段とは違う制服に身を包んで少し大人になったような気がする。
そしてそれは制服だけのためではない。
「それにしても志摩さんだけやのぉて竜ちゃんまで髪染めてまうなんてなんや違和感あるなぁ」
「坊は気合いなんですよね。志摩さんは…」
子猫丸くんはそこまで言ってチラリと志摩さんを見やる。