第1章 雪の日
しんしんと降り積もる雪。
京都は夏は蒸し暑く、冬は酷く底冷えする。
ひとつ息を吐くと呼気が姿を現す。
手のひらにひらりと結晶が落ちて溶けて腕を伝い袖を濡らす。
厚く重く曇った空から舞い落ちる雪を眺めて彼を待つ。
空を眺めていると雪が降っているのか自分が空に登っているのか判らなくなる。
「牡丹っ!!」
声がした方向に視線をやれば待ち人来たる。
「竜ちゃん!」
「牡丹っお前こないなとこでなにしてんのや?!!」
ずかずか近寄ってくる竜ちゃんはびっくりするくらい不機嫌。
「何って…竜ちゃんを待っとったんやけど…」
「っ!!」
窺う様に答えると竜ちゃんの片眉が跳ね上がる。
これはよろしくない。