第40章 『ただいちどたけ』〜 相葉×二宮〜
その翌日から、
雅紀はまた、俺の前から姿を消した。
正確には、見えなくなった、
という方が正しいかな。
雅紀が消えた俺は、
また昨日と同じ日常を生きる。
いつ会いに来てくれるか分からない恋人を待って、
待って……
待ちわびて………
泣いてるって思うでしょ?
それがさ…
この間、無くしたと思っていた仕事の書類が、
机の上に綺麗に揃えて置いてあった。
最初は、誰かの嫌がらせだったのかな?
って思った。
俺、誰かに嫌われてんのかな~??
と……
でも、違ったんだよね。
仲のいい同僚の山田と飲みに行った時。
「俺、二宮さんなら、ありかな~?って思うんですよね~」
って、そう言った。
「えっ??何言ってんだよ!冗談にしたって職場の女子が泣くぞ~!」
「だって、俺、女の子って、なんか怖くって///
二宮さんなら、一緒にいても楽しいし…」
「山田……」
「良かったら、俺と…」
その瞬間、ビールを運んでいた店員が足を滑らせて、山田に頭からビールをぶちまけた。
「すみません、すみません」
慌てふためくその向こうに、
一瞬だけど白い靄のようなものが見えた。
………雅紀……(;・∀・)
「山田、俺、そんな気ないから!
悪いけど、帰るわ!」
それからも、道を聞いて来た大学生に、
バスで居眠りして、俺に凭れて来たおじさんに、
満員電車で、俺の尻を撫でたおかまさんに、
必ず災いが降り掛かった。
………(-_-;)
これを世間一般では
『呪われてる』とは言いませんか??
俺、相葉雅紀に『祟られてる』んじゃない…?
俺に会いに来る気満々のオバケの雅紀。
俺は一生、あいつに縛られて生きていくんだな、
ってそう思った。
まあそれも、悪くないかも……
あ、そうそう。
今度あいつに言わなきゃ!
この章のタイトルさ、
『ただいちどたけ』……だし…
それを言うなら
『ただいちどだけ』
でしょ?(-"-)
それに、一度じゃない……よね?
何度も来る…んだよね?
雅紀……
俺待ってるからな!
……早く来い…雅紀……
「……雅紀……愛してるよ…」
そう呟いた俺の頬を、
冬にしては温かな風が撫でた。
【 END 】