第37章 『いつも貴方がいた』その後のふたりの生活④~櫻井×二宮~
翔は時々電車に乗ってるみたいだけど、
俺はほとんどこの頃は乗らないから、
なんだかドキドキする。
だってさ、逃げ場がないから…
「翔、どうすんの?
向こうの通りでタクシー拾う~?」
「う~ん…暫く歩いてみよっか!」
「えっ…でも~…」
「いこ!」
翔に手を引っ張られて、
俺たちは二人で並んで歩いた。
流石に手を繋いで、って訳にもいかないから。
直ぐ近くを、
時々ぶつかるくらいの距離で歩いた。
「ふふ、近け~よ///」
そんなこと言いながらもさ、
翔が嬉しそうなこと、俺ちゃんと分かってるしね♪
前から歩いて来た、
男子大学生風のグループの中の一人と
すれ違いざまに、肩が少しぶつかった。
「あ、、すみません」
俯きながら頭を下げると、そいつが
「いえ、こちらこ…えっ??」
あ……ヤバい///
「もしかして、あの…」
翔が俺の手首を掴んで、走り出した。
面倒なことは避けたいから…
その集団はもちろん追いかけても来なかったけど、
少し離れるまで二人で走った。
「はあ、はあ、はあ、」
息が切れた。
「大丈夫かよ?」
翔はそうでもなくって…
ふと見ると、前方に緑の木々が見えた。
公園…かな?
「少し休んでく?」
「うん…」
都会の中で、何だか忘れ去られたような公園。
でも古くからあるのかな?
木々は大きくて中に入ってしまうと、
周りのビルや喧騒が消えた。
こんなところに、こんな公園があったんだ…
外灯の下じゃない、暗いベンチに二人で腰掛けた。
深夜の2時近く…
公園には当然誰もいない。
俺は、そっと翔の肩に凭れた。
翔は、黙ったまま、俺の手をそっと握ってくれた。
なんだか、嬉しい…
こんな外でさ。
タクシー下りて、よかったかな~…