第36章 『夏だ!山に登ろう!』〜大野×二宮〜
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小鳥のさえずりは聞こえない。
でも確実に朝になった…
間違いない…
腰が痛い…
身体が重い…
直ぐ隣に、見慣れたふわふわの髪…
俺……
夕べ…この人に…
初めてだって言ってんのに、容赦ないんだよ…
何度ヤッたんだよ、ったく(-_-;)
勘弁してくれって言っても、
もう後悔しないって決めたんだ!
とか何とか言っちゃってさ…
でも……
俺…
幸せだった、この人の温もりに包まれて。
手に入るはずないって諦めていた…
それが、今、ここにある…
災い転じて…
瓢箪から駒…
昔の人は良く言ったもんだよ。
まさに、そんな感じだもんな~…
俺は、俯せに眠るその背中にそっと触れた。
すると、パッと顔を上げて俺の方に顔を向けた。
「あ、ごめ…起こしちゃった…」
「ニノ…」
「うん…」
「かずなり…」
「…はい…」
「あいしてるぞ」
………バカっ…
顔が熱くなった俺に、
「あっ、そうだ!確か鞄に…」
余韻に浸りたかった俺をさっさと残して、
大野さんは部屋を出て行っってしまった。
しかも、全裸…
「いいもんあったんだ~、これ…」
大野さんが俺に見せてくれたのは怪しげな小瓶…
「何これ??」
「これは上島竜平に貰ったんだ。インド土産だって!」
「インド~?で、何なの?」
「これはな~、び・や・く❤」
…媚薬?媚薬って…その、つまりは…
「勃ちっぱなしになるらしい」
「勃ち…って…」
「今度使ってみようぜ!」
「大丈夫なの~?そんなの…なんか胡散臭いよ~」
「大丈夫だって!」
「…そんなの、飲まなくたって…」
ぼそぼそ言ったけど、大野さんは、
「ニノ、今日から俺たち恋人同士な!」
「うん…」
……すんげぇ~笑顔の彼を見て、
若干の不安は残るけど、
なんか、幸せだった。
ここを覗いてるそこのあなた、
考えてる暇なんかないよ!
好きな人を誘って、山に登ってみな~?
もしかしたら、
いいことあるかもよ……
【 おしまい 】