第33章 『君が好き scene2』~松本×櫻井~
【 ニノside 】
不穏な空気が流れている。
理由はひとつ。
あの二人が目も合わさない。
俺は、そっと大野さんを見た。
俺と視線を絡めた大野さんは、僅かに両眉を上げ、肩を竦めた。
あの人も気付いてる...
相葉さんは、読んでいた雑誌を見ている振りで、こっそり翔ちゃんの横顔を見つめていた。
こっちも...
そら、気付きもするよね。
だっていつも、人目も憚らずイチャイチャしてるんだもん...特にJが...
喧嘩するのは勝手だけどさ。
その空気、そのまま持ち込むの止めて欲しいよ、ホントに...
俺達はデビューして18年経った。
苦しい時期も、辛い仕事も、みんなで励まし合って乗り越えて来た。
そんな俺達も、今やトップアイドルと言われるまでになった。
でも、5人とも驕らず、1つ1つ、今ある仕事を精一杯にやっている...
それは、デビューしたときから変わらない。
だけど、18年も経てば、変わって来ることもある。
そう。
この二人...
櫻井翔と松本潤は恋人同士で、
そういう関係になって、2年以上になる...
Jr.の頃から、ずっと翔ちゃんが好きだって言ってた松潤だけど、そんなの打ち明けられる訳もなく。
ずっと秘めていて。
普通に女の子と付き合ったりしてたけど、でもずっと1番は翔ちゃんだった...
それが、『思う一念岩をも通す』とは良く言ったもので。松潤の気持ちは翔ちゃんに届いた。
始めのうちは、隠してたみたいだけど、翔ちゃんはともかく、松潤は隠し通せるはずもなく...
あっさりとバレた。
で...
今に至るんだけど、ちょこちょことつまんない喧嘩して、こんな風に仕事に持ち込むから、正直迷惑なんだよね...