第31章 『そうだ!銭湯へ行こう!』~松本×二宮~
それからも潤くんの仕事は忙しく、
『二之宮乃湯』の長い歴史に幕を引く日が、刻一刻と近付いて来ていた。
俺と父ちゃん、じいちゃんも、
最後の日まで、この銭湯を守り抜こうと決めていた。
「最近、あのイケメン、来ね~な...」
開店準備をしてたら急に父ちゃんが言うから、
思わず目を反らせて狼狽えてしまう俺...
潤くんのことを言ってるんだって、すぐ分かった。
潤くんと俺の事。
多分、気の合う友達だって思ってるだろうけど...
何しろ、しょっちゅう泊まりに行ってるんだからね。
一緒にゲームしてるくらいに思ってるんだろうけど。
まさかね...
あんなことしてるなんて、きっと、夢にも...
「イケメン?...ああ、潤くんの事か~」
分かってるくせに、わざとしらばっくれると、
「お前の友達にはいないタイプだよな~...
あんなイケメン、そうそういね~よ!
母ちゃんが、20年若かったら...って言ってたよ、はははっ...」
...(-_-;)母ちゃん...
俺って、母ちゃんと趣味一緒だったのか(:_;)
つ~かさ。
父ちゃんとは、全然違う生き物だよな~?
「こんばんは~」
そこへ、急に噂のイケメンが登場した。
「潤くん❤」
あっ、思わずハート❤付けちゃった///
「すみません、開店前のお忙しいときに...実は、土曜日にこちらの会場に来ていただきたいんです。」
潤くんはそう言って、A4の封筒を差し出した。
白い角封筒の下には、『藤島コーポレーション』の印刷が...
これって、潤くんの会社の...
「何で?どうして俺が?」
「来たらわかるよ...できれば、お父さんも、家族皆さんでお越しください」
家族みんなで...って?
一体どういうことなの...
土曜日に、ここで何があるの?
潤くんは、怪訝そうな俺を見て、ただ笑っていた。